現在加筆中.随時追記します.
修士課程 ¶
避けられる無駄は避けよう ¶
修士課程は2年しかありません. 就職しようと考えているならば,就職活動もしなければならず,授業もあります. 時間は限られています. そのなかで最先端の理論研究をして何かしらの成果を得ようと思うと,時間を無駄にできません. 「研究は無駄の積み重ね」と言われることもありますが,避けられる無駄は避けるに越したことはありません.
以下では具体的にどのようにして避けられる無駄を避けていくかを書いてみました.
目標と計画を立てよう ¶
達成したい目標を立てることをお勧めします. たとえば,論文を投稿したい,学会で発表したいなどです. 目標は研究内容と直接関係なくて構いません. その目標を達成するために,すべきことを逆算して行動する習慣を身につけることが重要です. 「すべきこと」は,目標がなければ定まりません. まずは目標を定めましょう. すべきことのリストにないものは,(目標のためには)やっても無駄になる可能性が高いです.
目標を立てたら,次にすることは計画を立てることです. つまり,すべきことを列挙して,どのタイミングでそれが終わっていればよいかを確認することです. 授業や就職活動がだいたいどれくらいの時間かかるかは先輩などに確認してみましょう. 経験者の知恵を借りることは,計画を立てる上で参考になります.
学会発表をしたいという目標については,日本物理学会は毎年9月と3月に大会があります. 申し込みの締切はだいたいその3ヶ月前にあります. 英語で論文を投稿することを考えると,初めて論文原稿を自分なりに書き上げるだけで速くても3ヶ月くらいはかかると思って良いでしょう. そこから教員が赤入れをして,原稿をブラッシュアップしていきます. 論文投稿は,学会発表よりハードルが高く,時間がかかることです.
計画は適時,修正していきましょう. 計画を立てても,往々にして予定していた通りに研究は進まないものです. そのときは柔軟に計画を見直して修正しましょう. 計画を立てて,目標を達成するために何をすべきかを確認するために計画があると考えてください.
質問をしよう ¶
行き詰まったら教員に質問しましょう. ある程度を超すと,ひとりで悩んでいても時間の無駄になってしまう可能性が高くなります. 修士課程のうちは,悩む時間の目安は3日です. 3日悩んでも解決策が見つからなかった場合は訊きましょう. また,裏を返せば「3日は自分なりに解決策を探ってみましょう」ということになります. 最初のうちは,解決策の探し方すら分からないかもしれません. そのときは,ひとに悩んでいることを説明してみましょう. 頭のなかで思っていることは,自分が思っている以上に曖昧な存在なので,言葉にしようとすることで整理されるはずです.
悩みながら試行錯誤することに慣れてくると,3日では足りなくなってくると思いますが,1週間に1度くらいは教員に「いま自分は何に取り組んでいるのか」を説明した方がよいです. これは教員のためだけではなく,自分自身のためでもあると認識しましょう. 自分の今おかれている状況を明確に認識するために言語化することが必要だからです.
研究ノートを作ろう ¶
また,試行錯誤の過程を記録として残しておくことをお勧めします. 色々な試行錯誤をすればするほど,記憶から忘却していくものなので記録として残しておくことで,同じ失敗を繰り返さなくなります. 試行錯誤の記録は,自分自身のためでもありますが,自分が行った研究をフォローアップするひとのためでもあります.
普通のひとは1ヶ月前の自分が何を考えていたかなんて覚えていません. 行間が広いと,1ヶ月後に見返したとき「何を書いてあるかさっぱり分からない」という事態になってしまいます. それではせっかくのノートと試行錯誤が無駄になります. 研究ノートを書くとき,1ヶ月後の自分が読んでも理解できる程度に詳しく書きましょう.
博士課程 ¶
博士課程は3年あります. 存分に悩んで試行錯誤してください. 既約な試行錯誤の数が多ければ多いほど,その経験と知識は後で役に立ってきます.