藤本研究室について ¶
藤本研究室は2022年7月に藤本純治 が埼玉大学 大学院理工学研究科 数理電子情報専攻 電気電子物理工学PG に助教として着任して誕生しました. 我々は,スピントロニクス理論の基礎研究を研究しています.
藤本の経歴を知りたい方は藤本純治の自己紹介 をご覧ください.
学生募集 ¶
当研究室では意欲的な学生を募集しています. 興味をお持ちの大学生・大学院生は,まずはお気軽に藤本( クリックしてメールアドレスを表示 )までご連絡ください.
基本方針 ¶
理論系の研究室なので,コアタイムを設けません. その代わり,週に1度のペースで雑談タイムを設置してコミュニケーションをとるようにします. 研究室のゼミ(輪講)やイベントは,参加者の都合がつくように行います.
輪講 ¶
各タームで週に1度のペースで1〜2時間程度の間行う予定です. どのように行うか・どのような本を読むかは初回に参加者の意見を聞いて決めます.
以下に実際に輪講に使用した本を紹介します.
- 『ゼロから作るDeep Learning 4 強化学習編』 斎藤康毅 著(オライリージャパン)
- 『連続体力学』 佐野理 著(朝倉書店)
- 『弾性表面波工学』柴山乾夫監修(社団法人電子情報通信学会)
- 『強化学習』 森村哲郎 著 (機械学習プロフェッショナルシリーズ, 講談社)
- “Thermoelectric Generation Based on Spin Seebeck Effects” , K. Uchida, H. Adachi, T. Kikkawa, A. Kirihara, M. Ishida, S. Yorozu, S. Maekawa, and E. Saitoh, Proc. of IEEE 104, 1946 (2016).
輪読会 ¶
輪読とは,事前準備なしで,複数人が同じ本を読み進めながら互いの意見や解釈を議論し合うことです. 輪読会も週に一度のペースで行っています. どのように行うか・どのような本を読むかは初回に参加者の意見を聞いて決めています.
2024年度の輪読会のテキストは『量子力学を学ぶための解析力学入門 増補第2』高橋康 著 です.
イベント ¶
随時企画しますが,以下のものは恒例行事として行います.
月 | イベント |
---|---|
4月 | 歓迎会 |
6月 | バーベキュー |
11月 | 卒研中間発表の打ち上げ |
3月 | 送別会 |
研究を円滑に進めるためのツール ¶
主に連絡手段としてSlack を利用します. また,GitHub で研究データを保管します. オンラインの議論ではZoom とMiro を使用します.
研究紹介 ¶
ここでは研究室で行っている研究を紹介します. 読むひと 理系大学院生 / 理系大学生 / 一般の方 に合わせた内容紹介があります. より専門的な内容にご興味のある方は,研究成果 の「最近の研究トピック」欄をご覧ください.
理系大学院生向けの研究紹介 ¶
当研究室ではスピントロニクスの基礎的な現象を理論的に研究しています. スピントロニクスとは,電子がもつ量子力学的な自由度であるスピン(spin)を積極的に利用した次世代のエレクトロニクス(electronics)のことで,spin + electronics = spintronicsという造語です.
最近のスピントロニクス現象としては,スピンHall効果やスピントルクなどがあります. スピンHall効果は,純スピン流を電気的に生成する手法として広く用いられていますが,いまだに未解明な部分も多く,現在でも盛んに研究されています. スピントルクは,磁気メモリデバイスの磁化を電気的に制御する磁気トルクの一種で,より効率的な磁化の制御方法を求めて広く研究されています.
研究手法としては,解析計算では,量子場の理論の方法やGreen関数法,Feynmanダイヤグラム,線形応答理論を主に使います. 数値計算では,自分でFortranやC++,pythonでコードを書く他に,有限要素法やマイクロマグネティックシミュレーションなどのソフトウェアを使用します.
理系大学生向けの研究紹介 ¶
当研究室では,量子力学で現れるスピンに関する基礎的な現象を理論的に研究しています. 現在のエレクトロニクスは電子が持つ電荷の自由度に着目し,電荷を操作することで成り立っています. 電子はスピンという自由度も持っているので,スピンを積極的に活用して次世代のエレクトロニクスを生み出そうという試みが行われており,スピントロニクスという分野が形成されています. スピントロニクスとは,スピン+エレクトロニクスの造語です.
スピントロニクスの基礎的な研究は,物性物理学の範疇に入ります. 物性物理学は,身の回りのあらゆる物質を対象に,その電気・磁気・光・熱・力学的な性質を系統的・統一的に取り扱う学問です. 物の性質と書いて物性(ぶっせい)です. 量子力学の他に,電気と磁気と光に対する物質の応答を調べるためには,電磁気学の知識が必要となりますし,力学的な性質を調べるためには解析力学や流体力学などの古典力学の知識を活用します. 物質の熱力学な性質を明らかにするときには,統計力学や熱力学を用います.
また,スピントロニクスの研究には工学的な側面もあります. つまり,物質のさまざまな性質を理解するのみならず,明らかにした性質の工学応用の可能性を探ることもスピントロニクスの研究になります. あるいは逆に,工学応用に好ましい物性をどのようにすれば実現できるかを調べるというスタンスを採ることもあります.
一般の方向けの研究紹介 ¶
我々は,現代社会を支えているエレクトロニクスの“次の科学技術”を研究しています. エレクトロニクスはあらゆる電子機器(たとえばスマートフォンやパソコン,テレビなど)の基礎となる科学技術です. 電子を小さなボールと見なすと,ボールを移動させたり,一箇所にたくさんのボールを貯めたりすることで電子機器は動作しています. 我々が研究するスピントロニクスは,電子にはスピン(ボールの喩えで言うならば,ボールの回転)があることを利用して,もっと効率よく電子機器を動作させようとしています. スピントロニクスとは,スピン+エレクトロニクスの造語です.
スピントロニクスは工学応用を最終目標としていますが,我々は特にスピントロニクスの基礎研究を行っています. 言うなれば,スピンが関わる自然現象をよりよく理解することや,よりよく予測する理論を構築することに主眼があります. スピントロニクスが,エレクトロニクスよりも効率的な“次の科学技術”となるためには,まだ幾つものブレイクスルーが必要だと考えられています. 我々は,そのようなブレイクスルーの種を求めて研究しています.